ストーブのメンテナンスの重要性と安全に使うための方法
薪を燃やせば、必ず、木タールやススが煙突に付着していきます。これを、そのままにしていると、煙突内が狭くなり、煙がスムーズに排出されないばかりか最悪の場合は、煙突内のススに火が移って、煙突内火災(煙道火災)を起こす可能性があります。
“煙突のメンテナンスを怠れば火災になる”と書きましたが、「そうは言っても煙突掃除は面倒臭そう」とか「なんだか大変そう」という方が多いと思います。
そうです、その大変さを乗り越えてこそが薪ストーブやペレットストーブ を使うということの価値なのです。
これは薪ストーブユーザーの方だけでなくペレットストーブユーザーさんも必見の記事です。
最低でも1年に1回、使用頻度が多かったり長時間使用される方は1シーズンに数回行った方がよいと思います。
業者さんでも煙突掃除を専門に扱っている業者さんもあるようですが、今回は自分で掃除する方用に煙突の掃除のノウハウを伝授しようと思います。
準備するもの
揃えるものは下記の通りとなっています。
<安全用具>
ハシゴ・脚立・ロープ・ヘルメット・安全ベルト・ミニライト・防塵用ゴーグル・マスク・手袋・屋根用の靴・作業服・腰袋 等
<掃除用具>
煙突掃除用ブラシ・ワイヤーブラシ・ほうき・ちりとり・ハンディサイズほうき・ちりとり・ヘラ・ゴミ袋・ウエス・掃除機 等
<補修用具>
養生シート・養生テープ・マスキングテープ・古新聞・耐熱スプレー黒 等
作業開始
まずは屋根に登りましょう
煙突トップの点検、ススの状況の確認もありますので、安全確保の上、頑張って登りましょう。
屋根の勾配が急であったり、すべりやすかったりする場合は無理しないで、プロにまかせましょう。
屋根へ登るのがどうしても困難な場合は、高所作業車を利用することもあるようです。
<必要工具>
スパナ・ミニモンキーレンチ・ドライバー 等
<あると便利>
CRCスプレー・ミニバール・ハンディトーチ・メジャー・水準器・インパクトドライバー・ミニラチェット・デジカメ 等
煙突掃除の手順
1:
薪ストーブ本体の扉を閉める。必要に応じて室内の養生をする。
2:
煙突上部のトップ(角トップの場合は一番頂部の蓋、丸トップの場合はそのトップ)を外し清掃する。
3:
延長式の掃除用ブラシを(煙突径に有ったものを使用)煙突内に入れて5~6回上下させて内壁の汚れを落とす。
外部からの作業はこれで終了です。単純な作業ですね。
しかし、実は奥深いんです。
4:
薪ストーブ本体に落ちてきたススを取り除き、本体のメンテナンスをする。
重要ポイント
1:煙突掃除で一番重要な部分は、煙突のトップ!
煙突トップには角トップと丸トップの2種類があり、ほとんどのタイプに、鳥の進入を防ぐ為の、防鳥網やバードプロテクターがついています。
この防鳥網がススや木タールで目詰まりすると、煙突の継ぎ目から煙が漏れたり、ストーブ本体から煙が室内に漏れ出す排煙障害が起きます。
どんなに高性能の薪ストーブであっても、どんなに高性能の断熱2重煙突を使っていても、煙突トップが詰まればお手上げなんです。
出口を塞いだ状態にならないように、煙突のトップは特に念入りに掃除をしましょう。
■豆知識
Q1.煙突トップがすぐ詰まるのですが・・・考えられる原因はなんですか?
A1-1.着火の際に、新聞紙や牛乳パックなどの紙を燃やしていませんか?
燃えた紙片が、煙突内の上昇気流(ドラフト)により、煙突トップまで昇っていきます。
晴天で、風が吹いている状態であれば、問題ないのですが、今年のように、雪や雨の日が多いと、防鳥網がすぐに詰まります。
着火剤を利用して、紙を燃やさないようにしましょう。
A.乾燥のあまい、湿った薪を使用していませんか?
湿った薪を使用すると、煙突にススや木タールが付着しやすくなります。当然それに伴い、煙突トップもすぐに詰ります。
お庭でじっくり育てた良く乾燥した薪を使用しましょう。 しっかり焚きつけを準備して、炎を育てるイメージを持つと良いですよ~
2:雨仕舞いの確認をする!
基本的には、煙突トップの掃除で屋根に登る為、この機会に屋根面の雨仕舞いを確認しましよう。
煙突は屋根から突き出た大きな穴です。煙道以外の穴はふさいでおかないと、雨漏りの原因にもなりかねません。
また、壁出しの煙突の場合も、壁面雨仕舞いの状態を必ずチェックして、必要に応じてコーキングすることが大切です。
そして、ついでに、屋根面や雨樋にたまってる、ススや葉っぱ等も掃除しましょう。
■豆知識
Q.屋根面の雨仕舞いが心配ですが・・・?
A.コーキングや防水テープ、鉛シート等は経年劣化します
長く上手にご利用して頂くために、定期的なメンテナンスが必要となります。
煙突掃除の際には、ストームカラーや囲い水切などの防水テープだけでなく、
屋根フラッシングの状態、煙突囲い周りの状態、煙突支持金物のビスの状態も確認すると良いでしょう。
また、塗装がはがれていたら、塗装もあわせてしましょう。薪ストーブや煙突用の耐熱塗料もあります。
3:煙突の固定の確認をする!
煙突取付時には、台風や地震や雪等の外力を考慮して施工してますが、時として、想像を超えるような自然の力には勝てません。
煙突掃除の際には、煙突がしっかり固定できているかを点検しましょう。
4:室内から煙突掃除をする場合の注意点!
室内での作業は、まず養生をしっかりとしましょう。
室内煙突を外し、煙突掃除棒とブラシを差込み、大きなビニール袋を被せます。
そして、ビニール袋に掃除棒がギリギリ通る小さな穴を開け、煙突掃除棒を延長し、ブラシを使って下から上へ煙道のススを払っていきます。
屋根に登る必要がなく、安全ではありますが、煙突掃除で一番重要な煙突トップのメンテナンスはできなくなります。
もしも、トップカバーが傷んでいた場合には雨の煙道への浸入や、ススの近隣への飛散を招く事となりますので、
室内から煙突掃除をする場合も、年に一度は煙突トップを清掃しましよう。
また、壁出し煙突の場合は、室内から外部煙突の掃除口に向けて、ブラシを通すと良いでしょう。
5:簡易診断方法!
煙突をたたいてみて、こもった鈍い音がするようなら、すぐ煙突掃除に取りかかる必要があります。
煙突内部は鏡や懐中電灯を使って目視したり、デジカメで撮影して確認すると良いでしょう。
■豆知識
Q.ススの状態で何かわかりますか?
A.煙突をたたいてみましょう
カラカラカラっと音がして、ススの塊がが落ちてきたら、使用している薪が湿っていると判断できます。
良く乾燥した薪を使いましょう。
煙突をたたいてみて、サラサラサラっと音がして、パウダー状のススが落ちてきたら、乾燥した良い薪を使っていると言えます。
ストーブを設置する上でメンテナンスに関してはよくご家族やご近所の方と相談されてから設置されるのが望ましいのではないかと思います。
もうすでにストーブをお持ちの方はくれぐれも火災にだけは気をつけてメンテナンスを行っていきましょう。
このように自分で掃除する場合は時間がかかりますし屋根に登ったりするので危険も伴います。
ですので専門業者さんに依頼することをお勧めします。