ペレットストーブには煙突が必要? 燃焼の仕組みとリスクの説明
ペレットストーブは薪ストーブと違って煙突ではなく排気ファンで燃焼ガスを排出します。そのため、壁に排気口を開ける工事が必用ですが、煙突は設置されないことが一般的です。施工にかかる時間や費用、燃料の着火方法などが薪ストーブよりも簡単なため、木質バイオマス燃料を浸かった暖房を検討している、でも使うのが初めて、という方にはペレットストーブをおすすめできます。
ただ、煙突が無いことに不安を感じている場合も多いようです。今回は、ペレットストーブと薪ストーブの燃焼方式の違いを説明しながら、ペレットストーブに煙突が必用なのかについて解説します。
目次
タンクに詰めた燃料をもやしファンで排ガスを排気
ペレットストーブと薪ストーブのもっとも大きな違いは燃料です。間伐材などを用いた木質ペレットと呼ばれる燃料をタンクの中に入れておき、着火後は電動で供給されるなど全自動のタイプがあることが特徴的です。ペレットの燃焼によって発生した熱を本体に蓄熱して部屋を温める輻射式、熱交換器というボイラーのようなものを通して温かい空気を吹き出す温風式の2種類がありますが、どちらも基本的に煙突は必用ではありません。
ただ、煙突に似た機構が取り付けられている機種もあります。信越ワークスという国産メーカーのDK5には、本体から垂直に1メートル程度の筒が伸びています。これは熱交換器であり、内部は二重構造になっていて内側を通った熱気が外側の空間を対流することで、部屋全体を温める仕組みなのです。
ですが、一般的なペレットストーブは本体が四角、円筒状をしていて煙突にあたる機構が無いことが目印のようになっています。
排気ファンのためのシャフト工事は必要
耐熱壁や床断熱の施工が必用ではない分、手軽に使い始められるペレットストーブです。そのため、設置場所に悩まなくて済むというメリットもあります。ですが、排気ファンのシャフトを室外に出すという工事だけは必用になります。
信越ワークスなどのペレットストーブは、電動排気ファンによって燃焼窯内で発生した一酸化炭素などの排気ガスを排出します。毒性の高い排ガスを室内に貯めるわけに行きませんから、壁に穴を開けシャフトを通して室外に出すわけです。
さらに、長時間燃焼し続けるとこの排気管の中に煤や灰がこびりついてしまいます。灰は可燃性が強いので、蓄積されると発火のリスクが高まります。業者さんにお願いするなどして、定期的な掃除をする必要があります。
ヨーロッパには煙突付きのペレットストーブもある
木質燃料暖房の本場でもあるヨーロッパでは、ペレットストーブにも煙突を設置して屋根部分まで排気管を通すケースが多く見られます。
これは、自然の上昇気流による排気を利用したもので、二重断熱煙突というものを浸かっています。二重断熱煙突には、煙突内部に断熱材を貼り付けることで煙突そのものからの放熱を防ぎ煙突が冷えてドラフト(上昇気流)が弱まることを防ぐ効果があるのです。
こうした構造のペレットストーブは、寒さの厳しい北欧などの地域で好まれています。外気が冷たすぎると、煙突の中の空気が冷えてしまってストーブの熱い排ガスが上手く登っていけないのです。日本で施工する場合、地域によってはそこまで低温になることもないので、通常の排気ファンに頼れば問題がないでしょう。
電気が止まってファンが動かなくなったときの備えになる
しかし、ペレットストーブに煙突をつけるメリットは他にもあります。例えば災害などで電気が止まってしまい、排気ファンが動かなくなった場合です。
屋根上まで立ち上げられた煙突がついていれば、万が一ファンが止まっても自然のドラフトを利用して排気を続けることが出来るからですね。特に2021年現在の日本では、突発的な大雪に伴う停電を経験した方も多いのではないでしょうか。
電動のペレットストーブならば、電気が止まった時点で燃料の供給も止まるので自然な鎮火を待てばいいのですが、ストーブの容量によっては時間がかかりその間に排気ガスが室内に逆流する危険があります。そのため、大型のペレットストーブを検討している場合には排気シャフトからの煙突を屋根以上の高さまで設置しておくとより安全といえます。
まとめ・安全のための備えとしての煙突のメリット
ペレットストーブの中には、無電源式と言って完全アナログ操作のペレットストーブもあります。こうしたタイプのストーブでは、ストーブ下部分から空気を取り入れて上に向かって排気していくという自然現象を使って排ガス処理を行っています。
多くのペレットストーブでは、着火や燃料の調節、排気を電動で行うので、初心者でも利用しやすいことが最大の特徴です。さらに煙突を高く設置しておくと、排気の効率を上げるともに火災のリスクや災害のときの備えにもなります。より安全に暖房としてペレットストーブを使いたいのなら、設置の際に煙突を高めにつけることも検討してみてください。