ダッチウエスト エンライト FA247/FA247VN, FA248
目次
エンライトの歴史
エンライトは2004年、燃焼技術の専門家であったジグ・ブラックバーン氏が開発した、世界で初めて高効率・低燃費の「リーンバーン燃焼システム」を搭載したストーブです。それまでのダッチウエスト社の代名詞といえば創業者であるブルース・マッキニーとその仲間達が開発した“触媒”を用いた燃焼方法が有名でした。1988年、マッキニーは自身が掲げた目標『優れたストーブを開発して廉価に販売する』ことがある程度達成したと感じました。もともとジャーナリストだった彼は他にもやりたいことがあり、事業をバーモントキャスティング社に売却しストーブ開発から退く決断を下します。その後数年間、会社は様々な再編が繰り返され、北米最大規模のストーブ会社に変貌を遂げることになるのです。
エンライトはそんなストーブ業界の大きな過渡期の最中、2004年にマッキニーとも仕事をしていたジグ・ブラックバーン氏が手掛けた機種で、とても画期的な燃焼システムとして脚光をあびました。即座に部屋が暖まり燃費も良いことから、今なお人気の高い機種として知られています。
エンライトのデザイン
エンライトのデザインはアメリカン・クラシックスタイルを踏襲しており、緩やかな丸みを帯びた窓枠から見える炎は、一次燃焼の空気が上部からエアーカーテンとなって吹き付けるためいつでもクリアに見ることができるよう設計されています。
材質は鋳鉄製でカラーは「クラシックブラック」とホーローコーテイングが施された日本限定カラー「バーモントナイト」の2種類。特にバーモントナイトはレアメタルであるコバルトを使用しているので耐久性に優れているだけでなく見る角度によって色が変わる美しい発色が持ち味となっています。
高い燃焼効率を誇る画期的な燃焼システム「リーンバーン」とは?
薪の消費を抑え、長時間部屋を効率的に温められるよう開発された「リーンバーン燃焼方式」を採用した機種であるエンライト。
「リーンバーン」とは自動車のエンジンにも採用されている「希薄燃焼システム」で簡単に説明すると空気の割合に対し少ない燃料(薪から発生する可燃ガス)で形成された薄い混合気(煙)を素早く燃焼させることにより、従来ならススや灰となっていた煙をさらに燃焼させ、燃費を向上させる技術を指します。
空気を多く含む煙(以下「希薄混合気」という)は「着火がしづらく燃焼状態が不安定」という難点があります。そこでエンライト本体内部に高温度燃焼に耐える耐火セラミックの採用、そして燃焼室後部にあるシューリフラクトリーによって空気の乱流・撹拌を起こすことにより高温度燃焼が可能になり「着火しやすく燃焼が安定しやすい状態」が保てるようになりました。
クリーンな排気を実現!
煙の再燃焼とは?一次燃焼〜四次燃焼を解説!
エンライトの特徴として一次燃焼から四次燃焼を起こすことにより排気がクリーンであることがあげられます。
少し詳しく解説していくと、一次燃焼とは薪を燃焼させる状態、最初の燃焼をいいます。
二次燃焼は一次燃焼で発生した煙(ススやタール)に二次燃焼用の空気を流し込み燃焼させることをいいますが、この状態こそ再燃焼なのです。三次燃焼は二次燃焼で発生した(燃え残った)煙をさらに再燃焼させることをいい、四次燃焼もその繰り返しとなります。再燃焼された煙は燃焼の度に不純物が除去され、クリーンな状態になって最終的に煙突から排気されます。
煙を多く燃焼させることにより熱効率を高め、燃料を長く燃焼させることができるので高燃費になる、という仕組みなのです。
一次燃焼の仕組み〜ダンパーによるドラフトの発生〜
一次燃焼では、薪に火をつけて炎を起こしストーブの燃焼室内の温度を少しずつ上げていきます。
この時、煙突へ繋がるダンパーは空けておきます。操作は本体横のレバーで行ってください。
(写真はダンパーの様子がわかるように蓋部分をカットしたモデルです。)
ダンパーを開けることで、薪が燃焼して生まれた煙が素早く煙突まで届きます。そうすることで煙突が暖まり、上昇気流である「ドラフト」がスムーズに発生し、効率的に薪を燃焼させることができるのです。
効果的なドラフトは、室内への煙と炎の逆流を防ぐことにつながります。バーモント、セコイヤも同じ機能を搭載しています。
二次燃焼の仕組み
〜シューリフラクトリーで空気を攪拌→800℃の耐火セラミックで再燃焼を促進〜
一次燃焼が安定してきたら、ダンパーを閉めて煙を燃焼ボックスの中に導きます。
すると、気圧の差による作用で燃焼室後部にある耐火セラミック製のシューリフラクトリーから新しい空気が流れ込みます。
高温空気は、燃焼室の煙に乱流・攪拌を起こしながら燃焼中の薪にまんべんなく行き渡り、燃焼室内の温度を上昇させることで、耐火セラミックは800℃の高温になります。
この高温の耐火セラミックに希薄混合気が触れることにより、再燃焼が促進され二次燃焼が起こります。
三次燃焼〜再燃焼ボックス〜
シューリフラクトリーの裏側には「再燃焼ボックス」という耐火セラミックで出来た部屋があります。
この部屋は二重構造になっており、背面から吹き出される高温空気と混ざり合うことによって三次燃焼が行われます。
入り口が狭いと、煙は圧縮され流速(気体の動く速さ)が高まり、発火反応が加速されて高熱を発することができます。
そうすることでより効率よく部屋を暖め、不完全燃焼のようなアクシデントを防ぐことが出来ます。
仮に再燃焼ボックスの入り口が広かったとしましょう。煙は拡散してしまい温度と流速が下がり、燃焼が難しくなってしまいます。
再燃焼ボックスの背面にも小さな穴が開けられており、そこから高温空気を取り入れることで、三次燃焼を引き起こします。煙の入り口が狭いエンライトの再燃焼ボックスは、煙を収束させるという点で非常に利にかなった機種なのです。
四次燃焼〜三次燃焼の煙をさらに燃やし、クリーンな空気に〜
三次燃焼によってかなり綺麗になった煙は、これまでの燃焼で高温に熱せられたインナートップ(ダンパーより上の天井部分のスペース)に登ります。
ここをゆっくりと通過する過程で再び燃焼され、よりクリーンな状態で煙突から排気されます。この一連の煙の移動距離は約5mにも達するそうです!
スモール仕様
品番 | クラシックブラック FA247、バーモント・ナイト FA247VN |
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区分 | 薪ストーブ |
燃焼方式 | リーンバーン |
最大熱出力(kcal/時) | 10100kcal/h |
最大暖房面積 | 130㎡(約79畳) |
燃焼効率 | 72.0% |
最大燃焼時間 | 10時間 |
排気煙量 | 1.41g/h |
幅 | 625mm |
奥行き | 621mm |
高さ | 750mm |
重量 | 181kg |
最大薪長さ | 48cm |
ミディアム仕様
品番 | クラシックブラック FA248 |
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区分 | 薪ストーブ |
燃焼方式 | リーンバーン |
最大熱出力(kcal/時) | 13100kcal/h |
最大暖房面積 | 149㎡(約90畳) |
燃焼効率 | 72.0% |
最大燃焼時間 | 12時間 |
排気煙量 | 1.49g/h |
幅 | 695mm |
奥行き | 641mm |
高さ | 757mm |
重量 | 191kg |
最大薪長さ | 56cm |
公式サイトの製品ページ
この情報は公式サイト並びに当メディア独自の取材等で得た情報を掲載しています。最新情報についてはダッチウエスト エンライト FA247/FA247VN, FA248をご覧ください。