サウナで「ととのう」の意味。爽快感を得られる2つの理由
令和に入ってから加熱しているサウナブーム!昭和、平成の第一次、第二次サウナブームと異なる点は、熱さを我慢するだけでなく水風呂と外気浴のサイクルを繰り返すことで「ととのう」体験をすることにあります。
ですが、サウナでととのうってなに? 一体なにが整うの? と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
「ととのう」には2つの状態があると考えられます。
一つは自律神経の乱れが整うこと。
もう一つは興奮とリラックスという相反する状況が絶妙なバランスで整うということです。
サウナに入ることで得られる爽快感の正体は、このふたつのどちらかであるというわけですね。では、それぞれの「ととのう」の仕組みについてみていきましょう。
高温の刺激と低温の刺激を与えて自律神経を整える
サウナの入り方を説明しましょう。まず60℃〜80℃の高温の室内で5分ほど過ごし、そのあと冷水のお風呂に1分程度浸かった後、外気に体を晒して数分休息を取ります。
このサイクルを3回から5回ほど繰り返すことで、個人差はあるもののある程度の爽快感を得ることができます。
高温の刺激と低温の刺激は、生物の体にとって非常に苦痛です。苦痛を感じた体は、その場から逃げ出すために交感神経を活発化させます。
交感神経とは「戦いの神経」とも言われる自律神経です。呼吸を早くさせたり脈拍を高くさせることで、エネルギッシュな状態になりストレッサーと戦う状態を作り出す働きを持つものです。
ただし、興奮しすぎて脈拍が上がりすぎることも生命活動への危機となります。そこで、呼吸を穏やかにさせてリラックスに導く副交感神経の働きが刺激されるのです。
交感神経と副交感神経の2つの自律神経は、お互いを助け合って動くもの。
サウナの強烈な刺激で交感神経を活性化させることを通じ、おのずと副交感神経も活発になるので乱れていた自律神経の働きを調節することができます。この時体は深いリラックスを体験しています。
興奮と鎮静が同時に起こるハイな感覚を体験する
もう一つのととのう状態ですが、先程のリラックス状態とは少し異なり興奮しながら冷静になるという、一種のハイな状態を指しています。
高温のサウナ室で高くなった心拍や血流は、冷水に浸かることで急降下します。
脈が落ち着き血の巡りが穏やかになると、副交感神経も刺激を受けてリラックス状態に入るのですね。しかし、温度差があまりにも大きいのでまるでジェットコースターに乗ったように交感神経も刺激されてしまいます。
結果として、血流や呼吸を抑えよう、いや、早くしなくては、という目まぐるしい働きが脳の視床下部を中心に巻き起こるのです。
アスリートの方は試合に臨む時、パフォーマンスアップのために興奮を維持しながらも、冷静な判断を失わないためにリラックスすることも意識しています。興奮と鎮静が同居するとき、脳内では快楽ホルモンであるβエンドルフィンが分泌されるので、一次的に強い心地よさを体験できるのです。
スポーツをした後気分が良くなって、ストレスが解消できたことはありませんか?サウナにおけるととのうという状態も、これに非常に近いことが起こるために発生するものなのです。
ととのうで得られる効能は鎮痛作用や幸福感
高温、低温、外気浴を通して神経が整った状態になると、気持ちの落ち込みが改善したり心身の苦痛が解消される効果が期待できます。
理由は、自律神経の働きが改善されることにあります。自律神経の働きが乱れていると興奮も鎮静も起こりにくくなり、やる気が起きない、体を動かしたくないという、なのに眠れないという非常にネガティブな状態に陥ります。
交感神経と副交感神経を一次的にでも強制的に動かすことで、鈍っていた血流や呼吸が安定し、肩こりの痛みや抑うつという精神の苦痛を取り去ってくれます。さらに、高温と低温による強烈なストレスを緩和するために、痛みを感じにくくするホルモンが分泌されますから、
苦痛がない=幸せだ
という感覚が生まれ、幸福感を味わうこともできるのです。
まとめ・神経を整えて快適な状態を取り戻す
自立神経のバランスは強い刺激のもとで簡単に崩れてしまうほどもろいものです。
疲労が蓄積したり、長時間パソコンやスマートフォンを使っただけでも睡眠や呼吸が刺激を受けてしまうのです。また、仕事のプレッシャーや人間関係など精神的な理由からも自律神経は乱されてしまいます。
サウナに入るということ、ちょっと強めの刺激を加えられることで、混乱していた神経が自分の仕事を思い出してくれるのです。
つまり「ととのう」とは、神経が本来の働きに戻りつつ、ハイテンションを経験することで体が元気を取り戻すことなのです。