薪ストーブの補助金、1,741市町村ぜんぶ調べて分かったこと(令和8年度)

当社は2026年8月、47都道府県のすべての市区町村——1,741市区町村(1,718市町村+東京23特別区)——について、薪ストーブ・ペレットストーブに使える補助金があるかどうかを、自治体の公式サイトと交付要綱(補助金のルールを定めた公式文書)で1つずつ確認しました。
結果を先に書きます。薪ストーブまたはペレットストーブに使える補助が「ある」と確認できたのは、295市区町村。全体の約17%でした。6市区町村に1つの割合です。いちばん多かった答えは「ある」でも「ない」でもなく、「制度はあるが、薪・ペレットが対象に入るかは窓口に確認が必要」の883市区町村(約51%)でした。
この記事は、47都道府県を調べ終えて見えてきた全国の全体像です。お住まいの県の詳しい内容は、各県のページ(例: 長野県・島根県・鳥取県)にまとめています。47都道府県への入り口は薪ストーブの補助金を使うまでの流れ|47都道府県の一覧つきからどうぞ。
全国1,741市区町村の分布——「ない」と「確認できなかった」は別
| 判定 | 市区町村数 | 割合 |
|---|---|---|
| あり(薪・ペレットの少なくとも一方が対象と確認できた) | 295 | 約17% |
| 要確認(制度はあるが、対象に入るかは要綱だけで断定できない) | 883 | 約51% |
| なし・対象外・終了(制度がない、木質機器を対象外と明記、または終了・廃止) | 560 | 約32% |
| 確認できませんでした | 3 | — |
| 合計 | 1,741 | 100% |
※当社調べ(2026年8月)。母数1,741は1,718市町村+東京23特別区で、政令指定都市は1市で1件と数えています。
表の最後の行だけ、少し説明させてください。「ない」と「確認できなかった」は、混ぜていません。確認できなかった3件(山口県柳井市・平生町、鹿児島県喜界町)は、制度が「無い」のではなく、公式サイトから当社が「確かめられなかった」ものです。この2つは読者にとって意味がまったく違うので、分けて書いています。
補助金は、いくら戻ってくるのか

上限額の高い順に並べると、こうなります。
| 順位 | 市町村 | 上限額 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 1 | 長野県生坂村 | 100万円 | 4分の3以内。工事費も対象 |
| 1 | 京都府京丹後市 | 100万円 | 3分の2以内。令和8年度分の受付は終了 |
| 3 | 島根県海士町 | 80万円 | 2分の1以内 |
| 4 | 岩手県陸前高田市 | 75万円 | 4分の3以内。煙突・設置工事まで対象 |
| 5 | 北海道南富良野町 | 65万円 | 購入と設置を合わせた最大額 |
※一般家庭向けのストーブ補助の上限額(N=「あり」295市区町村・2026年8月・当社調べ)。薪ボイラー(お湯や暖房に使う大型の燃焼機器)まで広げると宮城県南三陸町の上限1,000万円、富山県南砺市の300万円という枠もありますが、家庭のストーブとは別物です。
ただし、100万円は例外中の例外です。全体の分布はこうなりました。
| 上限額 | 市区町村数 |
|---|---|
| 10万円以下 | 139 |
| 11〜20万円 | 71 |
| 21〜30万円 | 21 |
| 31〜50万円 | 22 |
| 51万円以上 | 10 |
※上限額が読み取れた263市区町村の内訳(N=「あり」295・2026年8月・当社調べ)
最多は「上限10万円」で、約8割が上限20万円以下に収まります。補助率は「2分の1」と「3分の1」が主流でした。相場感としては、「2分の1が戻る。ただし上限は10〜20万円」と押さえておくのが実態に近いと思います。
金額と同じくらい大事なのが、「何にお金が出るか」です。同じ「あり」でも、中身は3つのパターンに分かれます。
| パターン | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 本体のみ | ストーブ本体の購入費だけ。煙突・工事は自己負担 | 北海道富良野市、島根県雲南市 |
| 設置工事まで | 本体+設置工事費 | 北海道当麻町、南富良野町 |
| 煙突・炉台まで | 本体+煙突・炉台・炉壁などの周辺工事 | 旭川市(排煙筒=煙突も対象経費)、熊本県山都町(煙突・炉台・炉壁まで対象) |
薪ストーブは、本体よりも煙突や設置の工事費のほうが大きくなることがあります。上限額の数字だけでなく、工事費が対象に入っているかを必ず見てください。同じ上限20万円でも、受け取れる額が大きく変わります。
「対象外」の書かれ方には、パターンがある
560市区町村の「なし・対象外・終了」も、要綱を読み比べると書かれ方にパターンがありました。ここが分かると、ご自身の市町村の要綱を読むときの目のつけどころになります。
パターン1: 名指しで除外。埼玉県熊谷市の熊谷市住宅リフォーム資金補助金は、対象外の工事に薪ストーブを名指しで挙げています。同じ表で給湯設備や床暖房は対象なので、線は燃料ではなく「冷暖房設備かどうか」で引かれていると読めます。札幌市の札幌市再エネ省エネ機器導入補助金制度はペレットストーブが対象で、薪ストーブを名指しで対象外にしています。熊本市の空き家のリフォーム補助は逆に「ペレットストーブ等」を名指しで対象外にしていて、これは当社が47都道府県で確認したなかでペレットの名指し除外の唯一の例でした。名指しの除外は、実ははっきり書いてくれているぶん親切な部類です。迷いようがありません。
パターン2: 対象工事の限定列挙。秋田県横手市のように、対象になる工事が単価表で固定されていて、暖房機器の項目がそもそも無いパターンです。除外とは書いていなくても、入り口がありません。
パターン3: 「固定されない物品」の定型文。いちばん判断が難しいパターンです。住宅リフォーム補助の多くが、対象外の経費に「家具、家庭用電気機械器具等」「容易に取り外しができるもの」といった定型文を置いています。愛知県では5つの市町村の要綱に一字一句同じ「家具、家庭用電気機械器具等」という文言がありました(愛知県のページに詳しく書いています)。薪ストーブは家電ではなく、煙突ごと固定される設備なので、この文言の外に読める余地があります。一方ペレットストーブは電気で着火・送風するため、「家庭用電気機械器具」と読まれる可能性が薪より高いと思います。どちらに読むかは市町村ごとの判断になると思いますので、詳細は各市町村の窓口でご確認ください。
どのパターンでも共通するのは、「うちの町には無い」と決める前に、要綱の別表まで開く価値があるということです。
このお金は、どこから来ているのか——大元は4系統
調べていくと、「なぜ隣の町と補助額が違うのか」「なぜ毎年変わるのか」という疑問に行き当たります。答えの大部分は、財源にあります。市町村の補助金の後ろには、大きく4つのお金の流れがありました。
系統1: 森林環境税——1人年1,000円、総額629億円
令和6(2024)年度から「森林環境税」という国税が始まりました。住民税の均等割(所得に関係なく定額でかかる部分)を納めている人——全国で6,000万人あまり——が、住民税と併せて1人年額1,000円を納めています(総務省の解説、根拠は森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律)。
この税収は全額が「森林環境譲与税」として全国の自治体に配られます。令和6年度は総額629億円でした(林野庁の解説)。行き先をグラフにすると、こうなります。

グラフのとおり、いちばん大きいのは間伐など森林の整備で、約6割。薪ストーブ・ペレットストーブの購入補助は、右上の「木材利用・普及啓発」126億円の中に入っています。では、そのうちストーブ補助はいくらなのか——それを示す国の集計は、当社が確認した範囲では存在しません(令和6年度実績・2026年8月時点)。国の全国とりまとめにも公式事例集にも、「ストーブ」の語は一度も出てこないのです。その先を知るには、全市町村が法律の義務で公表している使途の資料を1枚ずつ開くしかありません。本記事の元になった調査で当社がやったのは、それです。
開くと、こういうことが分かります。岩手県八幡平市の令和6年度の使途公表には「薪・ペレットストーブ購入経費への補助 738,000円」が計上されています。岐阜県七宗町や熊本県山都町(山都町住宅用薪ストーブ等設置費補助金)は、財源がこの譲与税だと明記しています。一方で、同じ税金を受け取っていても、公表資料に薪ストーブ補助が1円も出てこない自治体もあります。同じ財源でも、家庭のストーブに使う町と、使わない町がある。これが「隣の町と補助額が違う」いちばん大きな理由です。
ご自身の市町村が何に使っているかは、林野庁がまとめている各自治体の使途公表ページの一覧(Excelファイル)から確かめられます。住民税と一緒に年1,000円を納めている方なら、その税金が薪ストーブ補助の形で自分の町に返ってくることがある、ということです。
系統2: 環境省の脱炭素の交付金
正式には「地域脱炭素推進交付金」(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金など)といいます。国が市町村の脱炭素の取り組みにまとめて交付するお金で、令和7年度当初予算は約385億円(このほか令和6年度補正予算365億円)です。この交付金を受けた市町村が、太陽光や蓄電池と並ぶメニューの1つに木質ストーブを入れるパターンで、制度名にそのまま名前が出ることもあります。上で紹介した上限100万円の2つ——生坂村の「地域脱炭素移行・再エネ推進事業補助金」、京丹後市の「脱炭素重点対策加速化事業補助金」——は、この系統です。ただし、同じ交付金を使っていても木質機器をメニューに入れるかは市町村ごとに違います。太陽光と蓄電池だけの市町村も多くあります。
系統3: こども家庭庁の交付金(結婚新生活支援)
意外な出どころですが、「要確認」883市区町村のかなりの部分がこの系統です。国が新婚世帯の新生活を支援する地域少子化対策重点推進交付金(令和7年度当初予算案10.0億円・令和6年度補正予算83.0億円)の中に「結婚新生活支援事業」があります。こども家庭庁の資料によると、対象は夫婦ともに39歳以下かつ世帯所得500万円未満の世帯で、補助上限は夫婦ともに29歳以下なら60万円・それ以外は30万円。対象費用に住宅取得費用・住宅リフォーム費用・家賃・引越費用が含まれます(国から自治体への補助率は都道府県主導型で3分の2、一般コースで2分の1。令和7年度の国の資料による。令和8年度の条件は各自治体の案内でご確認ください)。
国の資料はリフォームの工種を限定していないため、「薪ストーブの設置工事が入るか」は市町村の要綱ごとの判断になると思います。新婚で住まいを整える方は、確認する価値のある枠です。
系統4: 市町村の単独財源と、県の上乗せ
林業のさかんな町村では、林業振興の予算から出している例が目立ちます。担当課を見ると分かります。白馬村の薪ストーブ補助の窓口は農政課の林務係、熊本県高森町の規則には目的として「林業及び木材産業の活性化」と書かれています。また島根県は、県が市町村を通して補助を上乗せする仕組みを持っていて、12市町村が参加しています。
財源が違えば、制度の看板も窓口も違います。環境課にある町、林務係にある村、子育て支援課にある市。市町村サイトの「補助金一覧」ページだけを見ても出てこないことがあるのは、これが理由です。そして財源の多くが単年度の予算や交付金なので、制度は毎年つくり替えられます。「毎年変わる」のは、市町村が気まぐれなのではなく、お金の仕組みがそうなっているからです。
お金は後払いです——申請の順番を間違えると1円も出ません
どの財源の制度でも、共通する仕組みが2つあります。
1つ目、補助金は後払いが基本です。工事が終わり、実績報告を出したあとで振り込まれます。先に全額を立て替える前提で資金計画を立ててください。
2つ目、ほとんどの制度が「着工前の申請」を求めます。工事を始めてから(あるいは買ってから)申請しても、対象になりません。これを見落とすと、本来受け取れたはずの数十万円がゼロになります。当社が各県で確認した範囲でも、受付が春に始まり、予算がなくなり次第終了する制度が大半でした。薪ストーブを考え始めるのはたいてい寒くなってからなので、この行き違いは毎年起きています。
補助金の申請は、設置される方ご本人が自治体に出します。準備は業者さんにサポートしてもらいながら進めてください。申請から入金までの流れは薪ストーブの補助金を使うまでの流れ|47都道府県の一覧つきにまとめています。
当社の独断で選ぶ「特徴があった補助金」8選

1,741市区町村を調べるなかで、「これは面白い」と手が止まった制度がいくつもありました。金額の大小だけでは測れない、その町の考え方が見える8件です(いずれも2026年8月時点・当社調べ。最新の条件は必ず各自治体でご確認ください)。
1. 長野県白馬村——全額戻る。ただし年9台、受付は朝の30分。白馬村の薪ストーブ・ペレットストーブ購入助成は補助率10分の10以内・上限10万円。つまり上限までは全額です。そのかわり枠は薪7台・ペレット2台で、令和8年度の受付は9月1日朝の30分間だけ。申込みが多ければ役場でくじ引きになります。
2. 長野県生坂村——全国の頂点、上限100万円。生坂村地域脱炭素移行・再エネ推進事業補助金は4分の3以内・上限100万円で、据付や排煙の工事費まで対象。上のランキングの1位です。
3. 島根県海士町——隠岐の島から上限80万円。海士町薪ストーブ等設置費補助金は2分の1以内・上限80万円。燃料を島の外に頼らない暮らしへの、離島ならではの本気度が金額に出ています。
4. 北海道占冠村——ストーブだけでなく、薪そのものにも。占冠村木質バイオマスエネルギー導入促進事業は、購入と設置にそれぞれ補助が付くうえ、燃料である薪の購入にも1立方メートルあたりの単価補助があります。機器を買った後の毎年の燃料代まで見てくれる制度は、全国でも数えるほどです。
5. 石川県金沢市——補助率6分の5、ペレット専用。金沢市木質ペレットストーブ設置費補助金は5/6・上限50万円。本体代の6分の5が戻るという、補助率では全国トップ級の制度です。ただし対象はペレットストーブだけで、薪ストーブは対象外。「都市部の補助はペレットに寄る」という全国の傾向が、いちばんはっきり出た例でもあります。
6. 山口県萩市——お店にも薪ストーブを。萩市薪ストーブ整備事業補助金は2分の1以内・1台あたり上限50万円で、個人だけでなく事業者も対象。カフェや宿の薪ストーブにも使えます。
7. 宮城県南三陸町——ボイラーなら上限1,000万円。南三陸町木質バイオマスエネルギー利活用推進事業費補助金は、ストーブは1/2以内・上限25万円ですが、木質ボイラーは上限1,000万円。当社が確認した木質機器の補助で全国最大の数字です。個人だけでなく事業者も使えます。
8. 長崎県対馬市ほか——「結婚新生活支援」という意外な入り口。対馬市結婚新生活支援事業のように、新婚世帯の住宅リフォーム費用を最大60万円まで支援する枠が全国の市町村にあります(財源は上で書いたこども家庭庁の交付金)。国の資料はリフォームの工種を限定していないため、薪ストーブの設置工事が入るかは市町村ごとの判断になると思います。「要確認」883市区町村のかなりの部分が、実はこの系統です。
気になる制度があった方は、リンク先の最新の案内と要綱を確認のうえ、購入を決める前に窓口へ相談してみてください。お住まいの県の一覧は各県のページにあります。
補助金は1年で変わる——「去年あった」は当てになりません
この調査でいちばん強く感じたのは、制度の入れ替わりの速さです。
- 鳥取県大山町——本体と設置費用の2分の1・上限50万円と県内で最も手厚い制度ですが、町は大山町家庭用発電設備等導入推進補助金のページで「薪ストーブ等の補助は令和8年度をもって終了」と明記しています。逆に同じ鳥取県の日南町は、令和8年度から対象に加わりました(鳥取県のページ)
- 広島県北広島町——薪ストーブ専用の北広島町薪ストーブ購入補助金は、令和8年度は予算上限に達して受付を終えています
「ある」のに無いと思い込むのも、「ない」のに有ると思い込むのも、どちらも実害が出ます。この記事の数字は2026年8月時点のものです。申請の前に、必ずお住まいの市町村の最新の案内で確認してください。
どうやって調べたか
- 2026年8月、47都道府県1,741市区町村の公式サイト・交付要綱・例規集(自治体の条例や要綱を集めた公式データベース)を確認しました
- 制度名に「薪」が入る制度だけでなく、住宅リフォーム助成・結婚新生活支援・空き家改修など、名前からは分からない制度の要綱も開きました
- 公式サイトで確認できなかったものは、推測で埋めず「未確認」のまま載せ、そのぶん全市区町村に問合せ先を付けました
- 各県の詳細は薪ストーブの補助金を使うまでの流れ|47都道府県の一覧つきから、47都道府県のページへ進めます
本記事の内容はすべて当社調べ(2026年8月時点)です。1,741市区町村を人の手とプログラムで確認しましたが、誤りが残っている可能性はあります。お気づきの点は、運営者情報ページに記載の連絡先からご指摘ください。確認のうえ訂正します。
設置工事は、必ず専門の業者にご相談ください。


